人権教室と教育論

山下幸二

2023年02月02日 13:40




本年度分の人権教室の全日程が終了しました。
自分自身にお疲れ様。

僕の信条で、
現在、北中城村の人権教室は、
僕が1人で行っています。

1人で行うのは大変だったり、
僕や家族の体調によって、
リスケジュールすることになりかねないので、
本来は望ましくないのですが、
今のところ、メリットとデメリットを天秤にかけて、
1人体制でやるようにしています。


沖縄県全体で言えば、
人権教室は人権擁護委員のすべてが関われるようにする方針なのですが、
今まで子どもたちの前で1時間(小学校45分、中学校50分)話した経験のない人に、
「教室」と名のつくものを任せるのは負担が大きすぎると考えています。

例えば、子育て経験のない人に45分間子守りを任せるようなもので、
不安しか感じないだろうと思うのが大きな要因です。
もちろん、ぜひ、子どもたちの前に立ちたいという人がいれば断りはしませんが、
今のところ、そういう人に出会ったことはありません。
経験値という観点から、教員経験のない人に人権教室をお願いするのはかなり酷だと考えています。

とはいえ、教員経験があるからといって何の不安もないわけではありません。

教育論の話になりますが、
1時間子どもたちの前でなんらかの教室的なものをすると考えた時に、
教員経験者であれば、
「どんな子どもがいるのか。」という子ども理解がとても重要になります。
どういった子どもなのかを理解した上で、
どういった内容が適切なのか、
どういった流れが妥当なのか、
どういった言葉を使うべきなのかなどが決まってきます。

今年は、北中城小学校という1つの小学校の1年・3年・4年・6年が対象でしたが、
標準的な1年・3年・4年・6年を想定して、
人権教室の内容を考えて、
各学年に応じた流れを想定します。

ただし、当日までどんな子どもたちかは分からない中、
あらゆる想定をすることになります。


特に僕は元中学校教員であり、
小学校教員免許はペーパーのようなものなので、
なかなかのドキドキ感です。

また、担任の先生の学級経営の方針によって、同じ学年でもクラスの雰囲気は変わってきます。
毎回、行き当たりばったりで、その都度、多少展開を変える必要も出てきます。

しかも、現役の先生であれば、何度も授業をやる中で、軌道修正は可能ですが、
人権教室の場合は、事前も事後もない一発勝負なので、
本当に現役の頃とは違う緊張感があるのです。
とはいえ、この緊張感は教員経験者特有のものかもしれません。


僕が1人体制でやっているのも、
今、北中城村の人権擁護委員は5人いますが、
僕しか教員経験者がいないというのも大きいです。
毎年、一発勝負の人権教室だからこそ、教員経験者でないとかなり難しいようにも思います。


あと、これも僕の信条なのですが、
たった1時間といえど、
子どもの学びの時間を「いただく」ことになるわけですから、
しっかりと実のあるもの、
特に担任の先生に納得していただけるものを提供することが、
次年度の人権教室につながるとも思っています。

ただ「人権教室」をこなすのではなく、
「次もお願いしたくなるような人権教室」にすることが大切なのかなと思っています。
そのためにも、一発勝負で失敗するわけにはいかないとも思っています。
自分が失敗したと感じたら、
子どもたちの大切な1時間を無駄に奪ってしまったことになるからです。


村外では、複数人でチームを組んで人権教室に取り組む場合もあります。
本当に好みの問題で申し訳ないのですが、
前に立つ人が多ければ多いほど、
人権教室の中身が薄れていくと感じています。
もちろん、それが交流目的であれば、たくさんの人が関わることが大切だと思いますが、
何かしら伝えたいメッセージがあるのであれば、
僕自身の個人的な好みですが、
人数は少なければ少ないほど良いと思っています。


とはいえ、1人体制だと僕がいなくなった時などを考えれば、
継続性がないので、
今後は2人体制も考えていこうとは思っています。
今年度は久しぶりの人権教室になったので、
1人体制で取り組んでみました。

教員経験のない人でも、
そこそこ負担で、
そこそこの内容の人権教室を考えていく必要はあると思っています。
しかし、無理やり引っ張り出すことはしたくないと考えています。


とりあえず、今日で今年度分の人権教室が終了し、
自分なりには満足できる出来栄えだったので良かったとします。

ふぅ、疲れた。

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