【人権教室】細工は流々仕上げを御覧じろ【人権擁護委員】

【人権教室】細工は流々仕上げを御覧じろ【人権擁護委員】



人権擁護委員のお仕事の中には、
「人権教室」があります。

主は法務省ですが、
文科省からも各学校へ連携するように通知も出ていますが、
働き方改革とはいえ、まだまだ忙しい学校現場で、
人権教室の時間をつくってほしいとお願いしても、
元教員の僕個人の感覚では、
先生方はいろいろな心配を抱えるものじゃないかなぁと思っています。


人権擁護委員とはいえ、
特に試験を受けるわけではなく、
あくまでも推薦があり、議会で議員全員が知っているわけでもない一住民が承認されて、
人権擁護委員になります。
推薦を受けるからには、それなりの人なのですが、
それでも、すべての人が「人権教室」を行える力量を持ち合わせているかというのは別かなと、
僕自身も思うところがあります。


コロナ前までは、
北中城村の村立3小中学校から依頼はちょこちょこありました。
コロナに入ってからは、依頼は「0」になりました。

昨年度からようやく1つの小学校から依頼をいただけるようになりました。
それも村が予算をつけているCAPによる講演が開催される学年以外の4学年からお声がけをいただきました。


とはいっても、
一昨年度に村の校長会で打診して年間計画に入れてもらうお願いをして、
やっと組み込んでもらえたものであり、
僕としてはある意味で「大きな一歩」でした。


僕は元教員ですので、
先生の忙しさをそれなりに知っているつもりです。
外部からゲストティーチャーを招くということは、
「日程調整」や「打ち合わせ」と普段のルーティーンから外れる仕事が増えるということでもあります。
そして、いろいろ準備した「人権教室」が先生方の納得いくものにならなかった時には、
きっと【管理職からの押し付け仕事】の一つになってしまうことを危惧していました。

『人権教室は仕事が増えた上で、子どもたちの時間まで無駄にする。』
という評価を受けてしまうと、
年間計画に組み込まれていたとしても、
【嫌な仕事】の一つになりかねないという危惧です。


これを打破する方法として、
・できるだけ打ち合わせはしない(先生の時間を奪わない)
・子どもたちも先生方も満足する質(やって良かったと思われる)
の二点に注意することにしました。


沖縄県全体の流れとしては、
「人権教室を特定の人権擁護委員に押し付けないようにしましょう。」
「すべての人権擁護委員が人権教室に関われるようにしましょう。」
という方針ですが、
僕としてはある程度「魅せる人権教室」が必要だと考えていたので、
この2年間、人権教室を主として行うのは僕のみです。
ただし、たくさんの人権擁護委員が人権を守ることを伝える意味も込めて、
北中城村の人権擁護委員の皆さんには、
あくまでもボランティアなので、
「時間のある人は来てください。」
と声をかけて、
来ていただいた人権擁護委員には自己紹介をしてもらっています。
僕としてはこれだけでも十分にありがたい話です。
また、人権教室の内容が分かっていただければ、
サポートもしてもらえるようになってきました。
教員や人の前で何かを話す経験のない人権擁護委員が多いので、
子どもに寄り添ってサポートしていただけるだけでも僕としては満足しています。


さて、昨年度は一つの小学校でプロモーションの意味も込めて、
「意味ある」というよりも「意味を感じやすい」ことをイメージして人権教室を行いました。
もちろん、これは今年も同じ意識です。
つまり、「魅せる人権教室」を意識しました。

子どもたちの記憶にも残る。
先生たちも少ないやりとりで子どもたちが満足する。
この二点には細心の注意を払って、今でも人権教室に取り組んでいます。


元教員としては、少ない準備で何かしら意味のあるものをやってくれると助かるという意識がありました。
僕の意識として、人権教室をやることによって、
仕事が増えるのではなく、仕事が減るという認識を持ってもらうことです。

【山下さんなら、人権教室はまるっと任せても大丈夫】
という評判をつくることで、
次年度につなげることは意識していました。


さて、昨年度は1小学校4学年でしたが、
今年度の依頼は村立の全小中学校である3小中学校から、
全15学年中9学年から人権教室の依頼が来ました。
一昨年度は「0」、昨年度は「4」、今年度は「9」です。
十分な実績だと僕は思っています。

もちろん、コロナが明けたと単純に言って迷うところですが、
随分と緩和されたこともあると思います。
さらに、人権教室を僕一人で主として行うことについて、
全体の方針には沿っていないことを指摘されることもありますが、
大事なのは目の前の「子ども」と「先生」だと思っていますし、
慣れない、そして、自信のない、
もしくは、本当はやりたくない人権擁護委員を、
県の方針だからといって教壇に立たせることは、
誰の得にもならないと思っています。

もちろん、人権教室に僕の時間がかなり割かれるという点はありますが、
僕自身は、もともと一日5時間とか同じ授業をしていた経験があるので、
一日4時間、二日で5時間は大してきついという印象がないので、
別に損をしている気はしていないということもあります。


北中城村のやり方がうまくいっている理由の一つは僕が人権教室を主として請け負っているからです。
どこでも真似できるものではありません。
しかし、子ども、先生、人権擁護委員まとめて満足してもらうことを考えれば、
これが北中城村では最善の手段だと僕は思っていますし、
実際に、実施学年数が増えているのも事実かなと思います。


「山下さんがいなくなったらどうするんですか?」
と聞かれることもあります。
その時はその時ですし、
村内の人権擁護委員には、
「自信がないのであれば、断ることも優しさだと思う。」
という話もしています。

無駄だと思う時間を子どもに与えるくらいなら、
他のことを学ぶ時間にした方が良いのかなと思っています。
裏を返せば、
人権教室が子どもの大切な時間を奪うことになってはいけないと思っています。


コツコツと準備をしてきました。
コロナ禍はひっそりと息を潜め、
依頼があったら全力で人権教室に取り組んで納得いくものにする。

さて、今年度、まだいくつかの学年の人権教室が残っています。
その成果が、おそらく来年度の人権教室の依頼につながってくるものだと思っています。
中学校は来年度から1学年のみで対応のようなお話もいただいているので、
減るかもしれませんが、学校の事情を汲むのであれば、致し方ないことだと思っています。

結果を出すための手段はいくつもあるので、
それを試してみることだと思っています。
ただし、相手の満足感を考えて、
下準備を丁寧に、そして、方針をしっかり持ってコツコツと一つひとつ誠実に取り組むことは必須じゃないだろうかと思います。


今年度はありがたいことに、
二つの学年で、
人権教室と連動した授業を取り組んでいただきました。
ここに感謝の意を表しておこうと思います。
また、連動はなくてもご依頼いただけるだけでも、
子どもの相談先を増やすきっかけになると思っているので、
人権教室を実施させていただけるだけでも本当にありがたいことです。



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