【新解釈・中村家住宅】謎多き中村家住宅

ガイド



ガイドをするにあたり、
中村家住宅、特に中村家の人とその周辺や時代背景について調べるようになりました。

中村家住宅の建築学的な調査はすでに行われているので、
それは、まぁ、いいかなぁといった感じです。

ざっくりと言ってしまうと、
【国指定重要文化財中村家住宅】は歴史的矛盾を含みまくっているという点で、
本当に謎が多い建築物です。

沖縄の身分制度の大きな要は【士農分離】で、
家譜(家系図)を提出して、
琉球王国に認めてもらって印鑑ついてもらえば【士族】で、
それ以外は【農民】みたいなものなので、
「家譜」が認められるというのが大きなポイントです。

士族や農民の中で細かい分類もあるのですが、
とりあえず、まずはここからでも十分に謎が楽しめる。


中村家住宅が【国指定重要文化財】なし得ているのは、
報告書を見る限りは「古さ」「歴史の深さ」というよりも、
「琉球建築様式がコンプリートされている」という点だと思っています。

【士農分離】の時代を生き抜いた中村家のはずが、
敷地内は【士農折衷】になっていることが本当に不思議。


琉球王国の時代は、
◎瓦葺き禁止令
◎敷地・家屋の制限令
など、農民がやってはダメなことがあって、
中村家住宅は瓦葺きはしていなかったものの、
敷地・家屋に関しては、農民とは思えない豪華なつくり。

まず、母屋が士族の間取り。
さらに、「あしゃぎ(あさぎ)」というお役人向けのゲストハウスまである。
この辺は士族の屋敷の趣があって、
あしゃぎからは、築山が見えるし、
屋敷をぐるりと囲む庭園があったり、石垣まである。

士族の屋敷構えかと思えば、
「籾倉」や「高倉」と呼ばれる高床式の倉庫に、
「前の屋(メェヌヤー)」と呼ばれる家畜小屋がある。

まさに士農折衷!


さて、ここで、琉球王国は沖縄県だし、なんやかんやルーズなんじゃないの?
って思う人もいるかもしれないけれど、
石垣島には、
「宮良殿内(ミヤラドゥンチ)」と呼ばれる国指定重要文化財があり、
頭職も務めた【士族】の家があるのだけれど、
琉球王国が再三再四「瓦葺きはやめなさい」と通告して、
ようやく瓦葺きにしたという話があるくらい。

琉球王国のある沖縄島(沖縄本島)と、
島嶼地方にあたる石垣島とを差別化したのかもしれないけれど、
そう考えると、
首里城のすぐそこにある中村家住宅にはちょっと甘すぎる気がする。


こういった時代背景との矛盾があるので、中村家住宅は謎が多い。



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